クマった

通報があったことを知るべきは、
その近くにいる人たちである。

クマ出没の情報は、広く知らせるほど良いわけではありません。数十km離れた住民に届く一斉メールは、 やがて読まれなくなります。クマったは、通報された地点の半径300m圏内に実際にいる端末だけへ、 OSのジオフェンス機能で通知します。

iOS / Android 匿名・ワンタップ通報 自治体向け管理画面
半径 300m 通報地点 圏外の端末には通知しない
通報 → 半径300mの警戒エリアを自動生成 → 圏内へ進入した端末にだけ通知

お知らせ

課題

「見た」を、動ける情報に変える

クマの目撃情報は、いま多くの自治体で電話とメール配信に頼っています。住民から役場へ電話が入り、 職員が内容を確認し、防災メールで全域へ流す。この流れには、情報が古くなる時間と、 自分に関係あるか判断できない受け手が残ります。

結果として起きるのは「慣れ」です。関係のない通知が続けば、本当に近いときの通知も同じ重みで扱われます。

気軽に押せる。簡単に確認できる。判断は自治体が行う。
クマった 設計三原則
差別化

ポケットの中でも、鳴るかどうか

クマの出没情報を扱うアプリは、すでにいくつもあります。地図で見られるものも、 近づくと知らせてくれるものもあります。違いは、その通知がいつ、どんな状態で鳴るかです。

よくある方式

アプリを開いている間だけ

  • GPSを有効にし、アプリを起動した状態で出没地域に近づくとアラートが出る方式があります
  • ポケットに入れて歩いている住民には、この方式では届きません
  • 利用に登録が必要だったり、投稿できる人が地域内に限られることがあります
  • 目撃情報の地図は、住民が自分で見に行く前提のものが多くあります
クマった

閉じていても、その瞬間に

  • 警戒エリアへ入った瞬間に通知。ロック画面に出るので、地図を見に行く必要がありません
  • アプリを閉じていても届きます。OSにジオフェンスを預けるためです
  • 後からその場所へ近づいた人にも、圏内に入った瞬間に届きます
  • 市民はワンタップで通報。氏名も電話番号も登録しない匿名利用
  • 職員も管理画面から通報を作れます。電話で受けた情報をその場で地図に載せられます

2026年9月時点で公開されている各サービスの案内および報道をもとにしています。 もっとも用途が近いのは、三重県・長野県が運用するアプリ「けものおと2」です。地図と一覧で出没地点を見られ、 出没場所に近づくとアラートが出る点は同じで、県の案内には アラート機能はアプリ起動時のみ作動・現在地情報が取得可能な機種に限る、と記載があります (三重県「《三重県クマ出没情報》スマートフォン用アプリのご案内」ページ更新 令和8年8月25日)。 秋田県の「クマダス」は住民が投稿でき、距離などの条件でプッシュ通知を受け取れます。 裏の取れない項目は公開情報に記載なしとし、できないとは断定していません。各サービスの仕様は更新されることがあります。

仕組み

通報から通知まで

01

市民がワンタップで通報する

ホーム画面のボタン1つ。現在地と概要だけを送ります。氏名・連絡先は取得しません。 電波が届かない場所では端末に保持し、復帰後に自動で送信します。

02

警戒エリアが自動で作られる

通報地点を中心に半径300mの警戒エリアを生成します。同じ通報に対して、 職員が後から別地点・別半径(150 / 300 / 500 / 1000m)のエリアを追加することもできます。

03

近くの端末にだけ通知が届く

各端末はOSに警戒エリアを登録し、外側から内側へ進入した瞬間に通知を受け取ります。 アプリを起動していなくても動作します。退出時は通知せず、いったん出てから再び入れば改めて通知します。

04

職員が確認し、判断する

管理画面の地図に通報と警戒エリアが表示されます。職員は写真や動画を確認し、 通報者とアプリ内チャットでやり取りできます。電話で受けた情報は職員が代理で通報として登録できます。

設計思想

誤報を責めない、消さない

「本当にクマだったか自信がない」ためらいは、通報を遅らせます。クマったは誤報を排除せず、 吸収する設計にしています。市民に信頼性スコアは見せません。判断は自治体側で行います。

通報は1件1行で記録し、削除も書き換えもしません。訂正は追記として残します。 地域の防災ログとして、後から経緯を追えるようにするためです。

3層のステータス誰が決めるか市民に見えるか
危険度 risk_level自治体が地域の状況から判断見える
確認状態 verification_status自治体が事実確認の進み具合を記録見える
通報者の申告 reporter_status通報した本人見える
信頼性スコアシステム内部の指標見せない

3つは独立して扱い、混ぜません。「確認できていない = 危険でない」ではないためです。

実装状況

動くものが、すでにあります

構想ではありません。市民アプリ、自治体管理画面、API、通知基盤、AWS環境まで実装済みで、 本番環境が稼働しています。以下は現在のコードベースの実数です。

市民アプリ(iOS / Android)、自治体管理画面、API、通知基盤、AWS環境まで実装済みです。 構成の詳細は技術スタック仕様をご覧ください。

市民アプリのホーム画面。中央に大きな「クマを見た」ボタン、その下に自分の通報履歴と近くの出没情報への導線
ワンタップで通報写真もコメントも要りません
警戒エリアへ進入したときの全画面警告。クマが接近、300m先・成獣のクマ、この警戒エリアの通知を切り替えるスイッチ
進入したら全画面で警告エリアごとに通知を切れます
自分の通報履歴。受付時刻、申告内容、確認状況、警戒エリアの状態、添付と訂正の件数
自分の通報を追える処理状況・訂正・添付を確認
自治体ごとのお知らせ一覧。注意喚起・警戒解除・確認のお願いが種別のアイコン付きで並ぶ
自治体からのお知らせ写真・動画・リンクを添えて配信

画面は実装中のデザインです。表示内容は説明用の例で、実際の通報ではありません。

自治体の管理画面

受けるのも、返すのも、知らせるのも同じ画面で

市民アプリと対になる、職員向けのWeb管理画面です。通報を地図で受け、内容を確かめ、 通報者に匿名のまま確認し、住民へお知らせを出すところまでを1つの画面でまかないます。 ブラウザだけで使えるので、職員の端末に何かを入れる必要はありません。

自治体管理画面の出没マップ。地図上に通報ピンと半径300mの警戒エリアの円、左に期間フィルタと選択操作、右に通報・警戒一覧と選択中の通報の詳細
出没マップ通報が入るとピンと半径300mの警戒エリアが出ます。期間で絞り込み、重なった通報は地図上で囲んで選べます。半径は 150 / 300 / 500 / 1000m から選び直せます。
通報を扱う

3層のステータスを混ぜない

  • 危険度・確認状況・通報者の申告を独立して持ちます。「確認できていない = 危険でない」ではないためです
  • 変更には理由の入力が必要です。変更前後と理由を記録として残します
  • 電話や窓口で受けた情報は職員が代理で登録でき、アプリからの通報と同じ地図で扱えます
  • 同じ状況の通報が重なったら、元の記録を残したまま1件としてまとめられます
  • 通報者とは匿名のまま非公開チャット。氏名・住所・電話は扱いません
住民へ知らせる

書いて、予約して、撤回できる

  • 見出し・本文・写真・動画・外部リンクを付けたお知らせを作れます
  • その場で公開するか、日時を指定して予約公開できます
  • 表示終了日時の設定と、公開後の撤回ができます
  • 下書きの作成だけでは通知しません。公開したときに配信します
  • 職員の権限は閲覧・編集・管理で分かれ、操作は記録に残ります
お知らせの管理画面。左に公開中・予約・下書き・撤回済みの一覧、右に見出し・本文・写真動画・外部URL・公開予定日時・表示終了日時・公開理由の入力欄
お知らせの作成公開・撤回のたびに理由を記録します。通知が届くのは、受信設定とOSの通知許可を満たす利用者です。

画面は実装中のデザインです。表示内容・自治体名・地区名はすべて説明用の例で、実際のデータではありません。

導入

複数の自治体で、1つの基盤を

自治体ごとに管轄範囲を地図上で登録すると、その範囲に関わる通報だけが各自治体の画面に表示されます。 職員の権限は4段階で、閲覧のみの担当者から、警戒エリアの発令や一斉通知まで行う管理者まで分けられます。

安全情報そのものは自治体に閉じません。市民への警戒通知は、行政界をまたいでも止めません。 クマは境界線を認識しないためです。

権限できること
閲覧担当者地図・通報・チャット履歴・お知らせの閲覧
編集担当者上記 + 電話受付の代理通報、通報の訂正・統合、チャット返信
自治体管理者上記 + 警戒エリアの発令・解除、一斉通知、管轄範囲の設定、職員の権限管理
運営管理者全自治体の運用と、自治体そのものの登録・停止
クマったの現在地

どこまで作り、どこから一緒に考えたいか

クマが出たあと、誰が何をするか。通報を受け、判断し、住民へ知らせ、現場が動く—— クマったは、この流れ全体を考えて作っています。そのうち、 いま制度として動ける主体が自治体でした。だから最初の入口を自治体向けにしています。 自治体向けであること自体が目的ではありません。

プラットフォームとして作っているため、通報を受けて判断する側は、後から替えられます。 体制や制度が変われば、管理する側のシステムはそれに合わせて作り替えられる構造にしてあります。 いまの形が最終形だとは考えていません。

現場で何が起き、誰が動けて、何が足りないのか。それは実際に対応されている方が最もご存知です。 決まったものを納めるのではなく、形そのものからご相談させてください。 そのために、まず動くものをお持ちしました。

今後の拡張予定

GPS が届きにくい場所へ、
別の手がかりを置く

いまの警戒通知は、端末の OS が持つ GPS のジオフェンス機能で動いています。ただ、谷筋や林道、 建物の際では測位そのものが揺らぎ、円の出入りを OS が拾えないことがあります。 この弱点は、GPS の精度を上げる方向ではなく、別の検知手段を足す方向で埋めたいと考えています。

その候補がビーコン検知です。登山口、遊歩道の入口、通学路の分岐、圃場の出入口など、 「ここから先は気をつけてほしい」場所に電池式の小さな発信機を置き、端末がそのそばを通ったことだけを受け取ります。 位置を測るのではなく、目印のそばを通ったかどうかだけを見ます。 個人を特定しない、位置をサーバーへ預けないという方針はそのまま引き継ぎます。

ビーコンは GPS ジオフェンスの置き換えではありません。仕組みも、うまくいかない条件も違います。 そのためいまの通知経路とは切り離した将来の実験として扱い、 効果を実地で確かめたうえで採否を判断します。現在のお試し版には入っていません。

いまの GPS ジオフェンスビーコン検知(今後の実験)
何を手がかりにするか通報地点を中心にした円の出入り現地に置いた発信機のそばを通ったか
事前の設置不要。通報があればその場に円ができる必要。発信機の設置と電池交換が要る
向いている場所空の開けた屋外。どこにでも即座に範囲を作れる測位が揺らぐ谷筋・林道・建物の際
位置情報の扱い端末の中で判定し、位置はサーバーへ送らない同じ方針を引き継ぐ
現在の状態実装済み未実装。将来の実験

発信機は置けば終わりではなく、設置と電池交換の手間が続きます。 どの場所なら手間に見合うのかは、現場をご存じの方と一緒に決めたいところです。

導入費用

導入費用の目安

まずは無料のPoCで、実際の業務での使い勝手をご確認いただけます。

PoC・実証利用
無料
本格運用(1団体あたり月額)
30万円程度
年間利用料(月額 × 12か月)
360万円程度
初期導入・設定支援
50万円程度
初年度の予算目安(年間利用料 + 初期導入)
410万円程度
翌年度以降の予算目安(年間)
360万円程度

標準構成の参考価格。利用規模・支援内容に応じて個別見積もり。
金額はすべて税別で、1団体あたりの目安です。

利用料には、通報・警戒情報の管理、通知機能、システム保守、基本的な運用支援を含む想定です。 標準構成の参考価格として、対象地域・利用規模・支援内容に応じてお見積もりします。 個別開発や機器導入は別途ご相談ください。

PoCの期間・対象範囲は事前に相談して決定します。

次の一歩

実機で、お試しいただけます

iOS・Android のテスト版を配布しています。実際に通報し、警戒エリアに入り、 通知が届くところまでご確認いただけます。管理画面もあわせてご覧いただけます。

導入をご検討の際は、対象地域の管轄範囲を登録したうえで、 実際の運用に近い形での試験導入からご相談ください。

iOS — TestFlight

iPhone・iPad で試す

カメラでQRを読み取り、TestFlightアプリを入れてから参加します。

https://testflight.apple.com/join/1TuHbSB3
Android — Firebase App Distribution

Android で試す

QRを読み取り、画面の案内に従ってご自身で登録できます。事前のメール登録は不要です。

https://appdistribution.firebase.dev/i/87248863ffbefc39

このアプリは検証用アプリのリンクであり、正式なものではありません。
予告なく削除されたり、使えなくなる可能性があります。

このテスト版は本番環境に接続します。 送信された通報は、実際に自治体の管理画面へ届きます。動作確認の通報には、 その旨がわかる内容を書き添えてください。通報は地域防災ログとして残す設計のため、 記録そのものは削除せず、訂正として扱います。